高尿酸血症(痛風)
尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。痛風が起きる前には血液の尿酸値が高い状態が長く続きます。これを高尿酸血症と言います。
高尿酸状態を放置すると、ある日突然、足の親ゆびの付け根などの関節が赤く腫れて痛み(発作)を起こします。痛みは激烈で、耐えがたいほどの痛みです。発作はたいていの場合、薬で1週間から10日たつとしだいに治まります。痛風発作は、炎症を抑える薬を服用すると比較的早く治るので、医師に相談しましょう。
ただし油断は禁物で無治療だと、多くの場合1年以内にまた同じような発作がおこります。そして繰り返しているうちに、足首や膝の関節まで腫れはじめ、発作の間隔が次第に短くなってきます。
高尿酸血症の病型分類
尿酸値が上昇して痛風を起こすには、2つのタイプがあります。
①プリン体のとりすぎや病気で、尿酸が体内で多く産生されるタイプ
産生過剰型(アルコール過剰、食事過剰、肥満、造血器疾患)
②もともと尿酸の排泄能力が低いタイプ
腎排泄低下型(遺伝的体質、無酸素運動、脱水、腎機能の低下)
どちらかのタイプなのかは、尿検査で尿中尿酸/クレアチニン比で鑑別します。尿酸値が高い方は、医師に相談しましょう。治療方法にも関係してきます。
痛風発作中の血清尿酸値は低い
痛風発作を起こしている最中は、痛風の炎症性物質(サイトカイン)の影響で腎臓からの尿酸排泄が亢進します。このため、痛風発作の最中に血清尿酸値を測定すると半数ほどの患者さんで血清尿酸値が正常値以下を示すことがあります。
高尿酸血症(痛風)の治療
痛風の原因である高尿酸血症は、その7~8割が体質的な影響によっています。そして、この体質は、そう簡単に変わるものではありませんので、原則として一生涯の治療が必要な病気である場合もあります。
しかし、痛風患者さんは、30歳~60歳頃の男性の方が圧倒的多く、70歳を超えると少なくなります。この理由は、尿酸産生量が、20歳~40歳頃に増加し、その後減少することが上げられます。60歳を過ぎると尿酸産生量が低下して高尿酸血症の頻度が減少することが報告されています。
痛風発作中は尿酸降下薬を飲み始めてはいけない?
痛風発作中に尿酸降下させる薬を「開始」してしまうと、痛風が悪化したり長引いてしまうことが多いため痛風発作中の尿酸降下薬を飲み始めることは、避けるべきとされています。ただし、すでに尿酸降下薬を服用している場合は、痛風発作が起きても尿酸降下薬を中止する必要はなく、そのまま飲み続けて構いません。尿酸降下薬と鎮痛剤を一緒に服用して下さい。
尿酸値が下がったら、もう痛風は起きない?
痛風の原因は、関節内に溜まった尿酸塩結晶です。血液中の尿酸値が低下しても尿酸塩結晶が直ぐに無くなってしまうわけではありません。血清尿酸値を6.0mg/dl以下で良好にコントロールしても関節内の尿酸塩結晶が消失するには、2年程かかると言われています。
血清尿酸値が正常化しても関節内に尿酸塩結晶が残っている間は、ふたたび痛風を起こすことが多々あります。気長に尿酸コントロールを続けないといけません。
尿酸降下薬は、血清尿酸値が下がったら止めても良い?
良好な尿酸コントロールを2年間ほど続けていると関節内の尿酸塩結晶も溶けて無くなり、血清尿酸値自体も低下傾向を示します。血清尿酸値が4台や5台前半が続くようであれば、尿酸降下薬の減量も可能です。たとえば尿酸降下薬を減量後も、2年以上で血清尿酸値が6以下で維持できているようなら、尿酸降下薬の中止が可能となります。
ただし服薬中止後の食事療法の継続や定期的な尿酸値の検査は必要なのは言うまでもありません。
尿酸値が高くても痛風を起こさない人もいる?
高尿酸血症があるからといって直ぐに痛風を起こす訳ではありません。少なくとも数年間高尿酸血症を続いていることが条件です。高尿酸血症を「雪」に例えると痛風は「雪崩」です。雪が降ったからと言って直ぐに雪崩が起きることはありません。何日も雪が降り続いて初めて雪崩がおきるのです。
高尿酸血症の方で、うっかり間違いやすいこと
尿酸値が8mg/dl以上では、痛風の発作がいつおきてもおかしくない状態。そんな中で筋肉や足を使う中等度から激しい運動(速いランニング、ゴルフ、テニス、バスケ)は危険! アルコールも水分ではありません。また牛乳も水分ではないのです(牛乳は糖質、脂質、タンパク質を含みエネルギーがあるために水の代わりにと、飲みずぎないようにしよう。)