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肝臓疾患(肝臓の異常)について

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肝臓疾患(肝臓の異常)について

健康診断で肝酵素検査のAST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP等の項目が正常値をオーバーし「肝障害あり、再検査してください」と報告が来たけども、毎年の事だし、普段からお酒飲んでいるし、症状もなにもないし、面倒くさいからこのままほっておこう・・と思っている方はおられませんか?
でも放置はいけません!肝臓の異常には、放置していると恐ろしい結果を招く場合もありえます。

健康診断で指摘される肝障害の検査項目

ASTALT↑(肝実質の障害を反映)、γGTP↑(アルコールや脂肪化、胆道系の異常を反映)ALP↑(胆道系の異常を反映)、総ビリルビン↑(黄疸を反映)、ChE↓血小板↓(肝実質の障害を反映)などがあります。肝機能異常の原因には、アルコールや脂肪肝、肝炎ウイルス、薬剤、自己免疫などがあります。まずは、放置せずご自身の健診結果を見返してみてださい。

肝疾患 肝障害の検査項目数値
ステップ①
ALT(GPT)… 脂肪肝度をチェックする
脂肪肝度をチェック
ステップ②
AST(GOT)… ALT、ASTとセットで病名を推察する
ALT、ASTとセットで病名を推察
ステップ③
γ-GTP … アルコール飲み過ぎ度をチェックする
アルコール飲み過ぎ度をチェック
AST(GOT)ALT(GPT)
高度劇症肝炎、中毒性(薬剤性)肝炎、心筋梗塞劇症肝炎、中毒性(薬剤性)肝炎
中等度急性肝炎、慢性肝炎、肝臓癌、アルコール性肝炎、心筋梗塞、筋ジストロフィー症急性肝炎、慢性肝炎
軽度慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌、閉塞性黄疸、アルコール性肝障害、心筋梗塞、皮膚筋炎など脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害

肝障害の原因

① ウィルス性肝炎(A型、B型、C型、E型肝炎、EBウイルス)

A型、E型肝炎は食事を介した経口感染であり、急性肝炎(微熱、黄疸、倦怠感)を生じます。一方、B型、C型肝炎は血液を介した感染で慢性肝炎に至ります。急性肝炎は症状を伴いますが、慢性肝炎は症状なく経過し、確実に肝臓は徐々に傷ついて肝硬変や肝臓がんを発症していきます。このためウイルス性肝炎については、肝炎ウイルスの血液検査を受けていないと、知らないうちに肝硬変や肝臓がんを発症し、発見も遅れて気づいた時にどうしようもない状態である可能性も高いのです。

ウィルス性肝炎の特徴 ウィルス性肝炎の肝硬変、肝臓癌への進行
【B型肝炎ウイルス】

B型肝炎ウイルスは現在日本に110~140万人の感染者がいるとされ、比較的感染性の強いウイルスで、その感染力はHIVの100倍とも言われます。B型肝炎ウイルス(HBV)は出産時(母子感染)や性交渉時、で感染することが分かっています。また、1960年代までは売血制度があり、輸血や集団接種(1948年~1988年)で感染した場合もあります。HBVに感染すると、肝硬変や肝臓がんにかかるリスクが高くなり、とくにウイルス量(HBV-DNA量)が多ければそのリスクはさらに高まります。HBVの厄介なところは、一度感染すると体内から完全に排除するのはまず困難であることです。

B型慢性肝炎の自然経過

HBVに感染すると、HBs抗原が体内で作られ、HBV-DNA(ウイルス)が体内で増殖します。その後、HBe抗原が体内の免疫システムにより合成され、肝細胞が障害されALTが上昇します。HBVに感染すると20%で急性肝炎(黄疸、微熱、倦怠感)を生じます。しかし80%は肝炎を生じない、ウイルスを保持しているだけのキャリアの状態になります。しかし、キャリアでは、気付かないうちに自覚症状のない慢性肝炎に移行してしまっている場合もあります。 なお慢性肝炎とは、採血でALTが31以上の状態で、ウイルス量(HBV-DNA量)も多い状態をさします。腹部エコーやCT検査でも、肝臓内部(実質)が腫れたり、凹凸が出てくることがわかります。
慢性肝炎が進行するうちに肝硬変や肝臓がんを発生させてしまいます。いったん、肝硬変に至るともう肝臓は元気な状態に戻ることはありえません。

HBVウイルス感染後の長期目標と短期目標

このため、慢性肝炎の状態であることが判明した方では、HBV-DNA量をへらす治療を行いながら、肝硬変や肝臓がんを生じていないか定期検査を受ける必要があります。

前述のとおりHBV感染者にはウイルスを完全に排除(根絶)する治療法はないため、ウイルス量を減らす治療がメインとなります。HBVウイルスを減らす治療は、インターフェロン(注射)又は核酸アナログ製剤(内服薬)となり、基本的には長期間の継続治療が必要です。現在は核酸アナログ製剤(内服薬)が主流で、1日1回の服用にて高確率(90%)で肝炎ウイルス量を減らすことができます。
現在、B型肝炎の治療などには、都道府県の医療費の助成制度があり、この受給証による助成制度を利用することで、ウイルス肝炎の治療費用は月額1-2万円まで軽減することが可能となっています。当院長は肝臓専門医であり、受給者証の診断書作成も行っております。

【HBV感染にまつわる血液検査の名称および、検査の意味】
名称略語「陽性の場合」の意味
HBs抗原HBs-Ag現在HBVに感染している状態を意味
HBs抗体HBs-Ab過去に感染し、現在はすでに治癒した状態
HBc抗体HBc-Abキャリアからの発症で高力価となり、
HBVの急性感染の早期では低力価に
IgM-HBc抗体IgM-HBcAbHBVの感染後の早期に出現し、
感染有無の指標 となります
IgG-HBc抗体IgG-HBcAbキャリアの場合は高力価 になります
HBe抗原HBe-Agウィルスが活発に増殖活動をしていることを意味し、感染力の強さも示します
HBe抗体HBe-AbHBVの増殖力は減衰した状態を示す
HBV-DNAHBV-DNA増殖するHBVウイルスの量を表します
HBV感染 HBV感染
インターフェロンと核酸アナログの長所と短所 核酸アナログについて
【C型肝炎ウイルス】

C型肝炎ウイルスは現在日本に150~200万人の感染者がいるとされますが、そのうち80~100万人はご自身がC型肝炎ウイルスに感染していることを知らずに生活していると推測されています。

C型肝炎ウイルス感染者の割合

C型肝炎ウイルス(HBV)は主に輸血で感染し、感染するとほぼ80%以上が無症状の慢性肝炎に移行します。ただし慢性肝炎の進行はB型肝炎よりもゆっくりです。しかしB型肝炎よりも発がん率が高く、無治療だと60-70歳になってから肝硬変や肝臓がんが高率に生じてしまいます。肝臓がん罹患の約64.7%がC型肝炎罹患者であるとも報告されています。このため、肝機能異常を指摘されている方は必ず一度は、血液検査で肝炎ウイルスの検査を受けてください。

肝細胞癌のHCV抗体陽性率
C型肝炎ウイルス感染後の経緯

C型肝炎の治療法は2010年頃まではインターフェロンを中心とした治療でウイルスを排除(根絶)できる割合が60%ほどでしたが、2014年以降に登場した新規の内服薬(DAA)はウイルスを排除(根絶)できる割合が98%近くと著効し、しかも副作用が軽微とされています。また治療期間も8週~12週間で治療は完了いたします。(ただし、治療完了後も定期検査は必要です。)

  • C型肝炎治療は大きく進歩しました。
  • 最短12週間、経口剤のみの治療も可能となり、現在では多くの患者が治癒を目指せる治療薬があります。
  • 一方で、C型肝炎治療の進歩を牽引したDAAは、肝臓専門医のもとに適切な患者にの投与されることが求められています。

現在、C型肝炎の治療も都道府県の医療費の助成制度があり、この受給証による助成制度を利用することで、ウイルス肝炎の治療費用は月額1-2万円まで軽減することが可能となっています。当院長は肝臓専門医であり、受給者証の診断書作成も行っております。

  • C型肝炎の抗ウイルス療法は、医療費助成の対象です。
  • 医療機関への受診後に申請を行うことで、患者の自己負担額は所得税に応じて月額2万円または1万円に抑えられます。
  • 申請にあたっては、肝臓専門医による「診断書」が必要な場合があります。

とくにALT値が31以上、血小板数が15万以下の慢性C型肝炎は肝硬変・肝臓がんリスクが高く、早急に治療を開始することが必要です。まずは、血液・エコー検査など医師の指示を受けてください。

【Recommendation】

非代償性肝硬変を除くすべてのC型肝炎症例が抗ウイルス療法の治療対象となるが、ALT値上昇例(ALT 30U/I超)、あるいは血小板数低下例(血小板数 15万/μl未満)のC型肝炎患者は、抗ウイルス療法の良い治療適応である(レベル 1b、グレードA)。

日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編:C型肝炎治療ガイドライン(第5版),2016,p3
【急性肝炎・劇症肝炎の経過】

急性肝炎状態は発熱や吐き気など、かぜ様の症状の後に黄疸や倦怠感が見られだした場合には要注意です。劇症肝炎に至る可能性があり、とくにB型肝炎ウイルスや薬剤性肝炎の急性増悪は劇症肝炎で死亡に至るケースも多く集中治療や肝移植手術が必要となります。

急性肝炎・劇症肝炎の経過
急性肝炎・劇症肝炎の経過
【肝硬変】

肝硬変の原因慢性肝炎の状態が数年~10年ほど持続すると、肝臓は固くなりもとには戻らない状態(肝硬変)になります。C型肝炎とB型肝炎、アルコール性肝炎、脂肪性肝炎が主な原因です。肝硬変には、症状のない代償性肝硬変と、症状のある非代償性肝硬変に分かれます。非代償性肝硬変に至ると、黄疸や腹水、足のむくみ、食道静脈瘤(こぶ)を伴い、数年~10年で致死的な状況に至ります。特に、食道静脈瘤は吐血を生じて血圧が低下し、急激な死に至る可能性が高く、胃カメラで半年~1年に1回の頻度で定期的に食道に静脈瘤ができていないかの確認が必要です。

② アルコール性肝障害

アルコールの過剰摂取は脂肪肝やアルコール性肝炎、肝硬変の原因になります。1日のアルコール飲酒の基準量は1ドリンク=10gとされ、1ドリンク量はビール250ml、チューハイ(7%)180ml、焼酎(25%)50ml、日本酒(15%)80ml、ワイン(12%)100ml、ウイスキー(40%)30mlとなります。また週に2日は休肝日を設けることも大切です。アルコールは胃・小腸で吸収され肝臓で分解されてアセトアルデヒド(毒物)になり、さらにアルコール脱水素酵素(ALDH2)で加水分解され酢酸・水・二酸化炭素になります。しかしALDH2の活性が少ない方は、アセトアルデヒドが体内にたまりやすく顔が赤くなります。また毒物であるアセトアルデヒドは肝細胞や脳細胞、食道を破壊していきます。アルコール依存症でお困りの家族さまや患者様は、いつでも当院で相談をください。

アルコール過剰摂取 週に2日は休肝日を!

③ 非アルコール性 脂肪肝NAFLD(Non Alcoholic Fatty Liver Disease)脂肪性肝炎(NASH)

お酒を飲まない人がなる脂肪肝です。メタボリックシンドロームが最近話題になっていますがメタボの肝臓バージョン。食べ過ぎなどで肝臓に中性脂肪が貯まりフォアグラのようになった状態で、健康診断受診者の10%にみられ肝障害の原因の約30%がNAFLDといわれています。ただし最近、脂肪肝のうち10%ぐらいに肝硬変に進展しやすいNASH(脂肪性肝炎)であることがわかっています。NASHではウイルス性肝炎と同様の頻度で肝硬変や肝臓がんが発症しやすく、とくにNAFLDの方で高度肥満、閉経後の女性,AST/ALT比0.8以上,血小板20万以下、はNASHに移行しやすいとされます。また、NAFICスコア(フェリチン、空腹時インスリン、4型コラーゲン7S)が2点以上の場合もNASHに移行する肝繊維化リスクが高いとされ、定期検査や治療が必要となります。 このため脂肪肝のかたも採血などで定期検査が必要であり、もし脂肪性肝炎(NASH)が疑われ、その状態が持続すれば内服治療が必要になりますので、放置せずに肝臓専門医にご相談ください。

非アルコール性脂肪性肝疾患 非アルコール性脂肪性肝疾患の病期
NAFLD/NASHの治療フローチャート

④ そのほか

自己免疫性肝疾患の種類と推定患者数中年期に自己免疫(体質)により生じる自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎と言われる特殊な肝臓や胆管が破壊される病気があります。(各種血液検査で、自己抗体や免疫グロブリンIgGが陽性,高値になります)また、薬剤・漢方薬、サプリメントでも薬剤性の肝機能障害を起こしますので、薬剤を内服されている方で肝機能異常を認めた方は必ず医師に申告してください。

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